質問箱


question もう少し詳しく年によって異なるイースターについて教えてください
answer ユダヤには、その昔、奴隷として酷使されていたエジプトから神様の導きにより脱出したことを記念し、ユダヤ暦(太陰暦)の「ニサンの月」(われわれの暦の3〜4月ころ)に行われる「過越祭」には、ユダヤの男子はエルサレム神殿に巡礼しなければならない定めがありました。


イエス様もこの定めに従い、エルサレムに行かれたのですが、弟子たちと食事(いわゆる「最後の晩餐」)をした後、弟子のイスカリオテのユダの裏切りによって逮捕され、十字架に架けられて死に、墓に葬られたのです。そして3日目の「週の初めの日」(日曜日)に復活されました。キリスト教徒は、このイエス様の復活を記念する復活祭を最も重要な祭りとして祝うのです。


2世紀以後、多くの教会はニサンの月の14日(満月)の後の最初の日曜日を復活日として祝っていましたが、これと異なる日を主張する教会もあり、論争が続きました。
AC325年のニカイア公会議で「春分(3月25日に固定)後の最初の満月の後の最初の日曜日」と定められ、一応結着しました。
しかし、この時ローマ帝国は太陽暦である「ユリウス暦」(4年間の平均1年を365.25日とする)を使っていましたから、実際の天文学上の1年(平均回帰年)365.2422日との差の累積は中世末期には10日近くにもなり、暦と天行が合わなくなり、重大な問題となりました。


1582年グレゴリウス13世は閏年を調整し、400年間の平均1年を365.2425日とする「グレゴリウス暦」を制定し、春分も3月21日に変更しました。
グレゴリウス暦はカトリック諸国ではほぼ即時採用となりましたが、プロテスタント諸国では教皇に対する反発もあって採用はかなり遅れました。(イギリス 1752年、アメリカ 1783年など)
東方正教会では現在もユリウス暦を使っているので、西方教会のイースターと東方正教会のイースターとは必ずしも一致しません。(2013年のイースターは西方教会では3月31日でしたが、東方教会ではユリウス暦の4月22日、グレゴリウス暦でいえば5月5日です。2014年はどちらもグレゴリウス暦では4月20日で同日です。)


イースターは年によって異なるので「移動祝祭日」と呼ばれています。イースターを基準に決められる灰の水曜日、棕櫚の主日、洗足木曜日、聖金曜日、キリスト昇天日、聖霊降臨祭(ペンテコステ)、三位一体主日なども「移動祝祭日」です。





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